こんな人におすすめ
- 酪農を学びたい
- 牛に興味がある
- 除角の方法を知りたい
本記事の内容
- なぜ、牛には角がないのか
- 除角を行なった際のメリット
- 除角の方法
- アニマルウェルフェアから見た除角
筆者情報

本記事は将来、酪農を経営したいと夢見ている大学生がこれから酪農を学びたい人に向けて書いた記事です。
1. なぜ、牛には角がないのか

牛の姿を想像してみてください。
その牛には角が生えていますか?
日本にいる多くの牛には角が生えていません。
和牛などの肉用牛には生えているものがありますが、
ホルスタインなどの乳用牛の多くには角が生えていません。
なぜ、生えていないのか。
それは、人間が角が生える前に除角という作業を行うからです。
除角を行うと多くのメリットがあります。
本記事では、除角を行なった際のメリットや行う方法、必要性などを紹介します。
2. 除角を行なった際のメリット
除角を行なった際のメリットはこちらです。
- 牛同士のケガの防止
- 牛の攻撃性を低下させ、飼育スペースを広げる
- 管理・飼養者のケガ防止
牛同士のケガの防止

牛は群れで動く動物です。
そのため、群れの中にも順位ができます。
牛は優劣を決まる際に敵対行動を示し、頭をぶつけ合います。
その際に角があると大きな怪我につながってしまいます。
除角をすることで角がなくなり、怪我を防止することができるのです。
牛の攻撃性を低下させ、飼育スペースを広げる

除角をすると牛の攻撃性が下がります。
牛同士の衝突や人への被害を減らすことができます。
そのため、牛一頭にかかる飼養面積を小さくすることができ、飼育スペースを広げることができます。
飼育スペースを広げることで牛の頭数を増やすことができる他、牛へのストレスも軽減できます。
管理・飼養者のケガ防止
除角をすることで牛同士だけではなく、人への安全性も保つことができます。
牛の角はとても硬く、先が鋭くなっています。
そのため、牛の力で攻撃されると人は大きな怪我を負ってしまいます。
除角をすることで人の怪我防止にもなるのです。
3. 除角の方法
除角の必要性がわかったところで除角の方法を紹介します。
除角には以下の方法があります。
- 焼きゴテ法
- 除角器を使った除角
- ペースト
焼きゴテ法

焼きゴテを使い、角の元になる細胞を焼いて除角する方法です。
この方法は2ヶ月齢までに行うことが推奨されています。
2ヶ月齢を超えると、本格的に角が形成されていきます。
角が形成する前に行うことで無駄なストレスを与えることなく除角ができます。
また、2ヶ月齢を超えると牛同士で優劣関係が始まリます。
優劣関係が作られる前に武器を取り除くことで混乱をなくすことができます。
除角器を使った除角

除角器を使い、伸びた角を取り除き、焼きゴテで止血する方法です。
こちらの記事で写真と共に紹介してあるのでご覧ください。
http://www.ty.zennoh.or.jp/blog/2019/07/post-92.html
ペースト
ペーストを用いた除角方法です。
2週間以内に牛の角が生える部分にペーストを塗り、除角をする方法です。
他の除角法に比べて、仔牛に対するストレスが小さいことと作業が楽なことがメリットとして挙げられます。
しかし、ペーストを塗った直後はピリピリとした痛みがあるようで、壁に頭をこすってペーストを取るような動作が見かけられます。
ペーストが取れてしまった場合、除角は失敗してしまうので、人間の手で行う必要があります。
また、ペーストを塗った後は、舐め合いを防ぐために仔牛同士を話す必要があります。
これらの除角方法で最も推奨されているのは焼きゴテ法です。
他の除角法に比べて失敗する確率が低く、作業的にも楽なためです。
こちらの記事で詳しく紹介しております。
http://thms.jp/thms201602-001.pdf
4. アニマルウェルフェアから見た除角
除角するのはかわいそう。
という方もいると思います。
しかし、除角をしないと牛にとっても大きなストレスになるのです。
先述の通り、除角をしないことによって多くのストレスが牛にかかります。
(牛同士が優劣関係を持ったり、角によって怪我をしてしまう可能性があるため)
そのため、除角をしないことがアニマルウェルフェアではなく、
痛みのコントロールをすることがアニマルウェルフェアなのです。
痛みのコントロールをするために、麻酔や鎮痛剤を使います。
アニマルウェルフェア的にも、疼痛コントロールが必須です。
そのため、除角をすることを否定するのではなく、除角の方法に注目してみてはいかがでしょうか?
こちらの記事では、酪農の魅力について書いています。
酪農に興味を持った方はぜひ、ご覧ください。
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